職人さん直撃インタビュー

　職人さんが建具の仕事を始めようと思ったきっかけや、困ったお客さんにはどう対応するのかなど、ちょっとした裏話を大公開！　これを読んだらあなたも建具職人を目指したくなる！？

僕を信じて、出来ばえを楽しみに待って下さいませんか？

職人さん直撃インタビュー

建具の仕事を始めようと思ったきっかけは？

　子供の頃から物づくり、工作が好きだった。そんなある日、学校から帰ると一人の職人がいて窓に真新しい木のガラス戸を取り付けていた。（当時はサッシではなく、外部も木製だった。）
「サクサクッ」とよく切れるノコギリ。「シューッ、シューッ」と軽快にすべるカンナ。そこから、まるで手品のように飛び出して生まれてくる削りくず。「カッコいい！！」と思った。

　暗い小さな窓が新品の大きな窓に変わり、まぶしい光が差し込む明るい部屋になった。不思議なショーにうっとり見とれていると、その人が「大きくなったらウチへこないか？」と言った。その人は姉の婚約者だった。

　そして、僕は学校を卒業してその人に弟子入りをした。それからずっと、僕は建具という道を無我夢中で走り続けている。

建具の仕事をしていて良かったなーと思えた出来事は？

建築現場でいろんな職種の人たちの話が聞けて、そこからいろんな人生観を学べたこと。
自分の作りたいものを思いのままに作ることができる。
自分の作品づくりにファンができて喜んでもらえる。

建具の仕事をしていて一番苦労した出来事は？

　注文が殺到して、納期を間に合わせるために約半年間休日をとらず残業を続けた。ついにはラストの３日間は２４時間不眠不休で働いた（ヒーッ！！）

木の良いところはどんなところだと思いますか？

自然素材だから、人が本能的に受け入れられる。
見た目に優しく、手触りが良い。
古くなるにつれ、味わいと迫力が加わってくる安心感。
何度でも修理、加工、リフォームができる。
何より「木」というだけでホッとする。

これぞ職人技！と思うのはどんなことですか？

　ガタガタの戸がちょっと削ってやるだけで見事にスムーズに動くようになる。

建具のどんなところがおススメですか？

　ドア、ふすま、障子。そのデザイン、コーディネート次第で部屋の雰囲気、空間を変えることのできる魔法のアイテム！！

文句ばかり言ってくるお客様にはどう答えますか？

　「僕を信じて、出来ばえを楽しみに待って下さいませんか？」

これまでで一番満足のいく仕上がりになった仕事は？

新築のお宅のリビングにと注文を受けた、木の手づくりテーブル、椅子などのセット。
「古くなって落ちてくる壁を何とかしたい」とリフォームを依頼され、和室→洋室のお部屋。押入れふすま戸を貼り替えて洋風に。カベを明るい板貼りに、とイメージチェンジして感激してもらった。
「お父さんがタバコを吸ったりパソコンしたりできる部屋に」との依頼で、２畳の押入、クローゼットを書斎にリフォーム。

お客様に「すべてお任せします」と言われたら、どんな部屋を作りますか？

　窓まわり、小さなカウンター、ちょっとおしゃれな照明器具、ベットなどの手づくり家具のある「木」をふんだんに使ったペンション風の寝室を。

建具職人　吉田幸人

無口で物静かな職人歴32年のベテラン。芯は人一倍しっかりとしていてコツコツと仕事をこなし、決して妥協をしないところは、まさしく職人！　仕上がった建具を見る度に誰もが「あっぱれ」の一言。嘘のない、正直な仕事が持ち味です。暑いのが苦手なので、夏場は大変！　クーラーの効かない作業場で汗を流しながら作業することも…。そんな時でも文句一つ言わずに粘り強く頑張ってくれるので、スタッフ全員が頼りにしている職人さんです。
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